景気とは
- 景気が良い
- 景気が悪い
と、みんな言いますよね。
でも、「景気が良い」とは、どんな状態のことを言うのでしょうか?
- たくさんの給料をもらっている状態?
- モノがたくさん売れている状態?
- 高級ブランドがいっぱい売れている状態?
- 海外に日本車などがたくさん売れる状態?
この章では、世界の経済を知るために、まずは小さな島国である”日本”のある「唐揚げ屋」さんの例を参考にはじめましょう。
「景気が良い」ってどんな状態?
たとえば、あなたが唐揚げ屋さんを経営しているオーナーだとします。
そのお店の唐揚げは、ジューシーで柔らかく美味しいと評判で連日行列ができています。
すると下記のような状態になります。
- あなたの唐揚げ屋さんが儲かります
- 鶏肉を販売している肉屋さんも儲かります
- 鶏肉を育てている養鶏所も儲かります
- サラダ油を販売している油屋さんも儲かります
- 衣の小麦粉を販売している製粉所も儲かります
- 他にも、塩、砂糖、醤油などを販売している人たちも儲かります
- みんな儲かるので、そこで働いている人々の給料も上がります
- 唐揚げ作りに関係している業者の皆さんも儲かっているので、その人たちの給料も上がります
このような状態なら、唐揚げ屋さんのオーナーであるあなたは、「景気が良い」と感じますよね?
また、肉屋さんや養鶏所など、あなたのお店に材料を販売している人たちも儲かっているので、関係する人みんなが「景気が良い!」と感じていることでしょう。
しかし、経済学においては、これだけのことで「景気が良い」とは言えません。
なぜなら、経済学において「景気とは、世界全体の経済状況を表すモノ」だからです。
では、下記のような状態ならどうでしょうか?
あなたの唐揚げ屋は儲かっています
あなたに材料を販売している人たちも儲かっています
あなたの唐揚げ屋さんのあるアーケード街はたくさんの人々で賑わっています
しかし、近所のラーメン屋さんは潰れてしまいました
テレビではトヨタ車が大人気で売り切れているそうです
新しいiPhoneも飛ぶように売れています
しかし、大手ショッピングモールが倒産しました
日本人のほとんどの給料が上がっています
日本人のほとんどの人が「儲かっている」と感じています
儲かっているたくさんの日本人がショッピングをしています
どうですか?
こんな感じで、日本国内全体で、平均してモノやサービスがたくさん売れていて、多くの人の給料が上がり、同時に多くの人が「商売が軌道に乗っている」と感じている状態。
このような状態が、経済学から見たときに「景気が良い=好景気」な状態と言えます。
あなたの唐揚げ屋さんだけが儲かっていたり、ラーメン屋さんやショッピングモールだけが倒産しても、それはあくまでも個別のことです。
この章でお話するのは”マクロ経済学”です。
マクロ経済学とは、一つの国や世界の経済状態を分析する学問のことで、あくまでも経済全体をみるためのモノです。
景気が良かったら経済指標も上がるの?
それでは、どうしたら景気は良くなるのでしょうか?
そのヒントとして「経済指標」「指数」「指数物価」とういものがあります。
つまり、これらの数値を見て景気の状態を判断します。
経済指標や指数の数値が良ければ、日本の景気も良いということですね。
それでは再び唐揚げ屋さんを例にします。
あなたが経営している唐揚げ屋の唐揚げは、毎度のことながら売れに売れています。
そのため、もっとたくさん作って売ろうと考えます。
このようなあなたの経済活動に、どれだけの指数が関係しているのでしょうか?
① たくさんのお客様が唐揚げを買っている
→ 総務省「家計消費指数」
② 唐揚げを増産するためフライヤーを追加で購入した
→ 財務省「設備投資・法人企業統計」
③ より売れるようになり店員さんが忙しくなり、給料がアップした
→ 厚生労働省「毎月勤労統計調査」
④ 人手がたりないためアルバイト・パートを新たに雇った
→ 総務省「完全失業率」、厚労省「有効求人倍率」
⑤ 唐揚げの生産量が増えた
→ 経済産業省「鉱工業指数」
⑥ コストが増加したため、唐揚げの値段を上げた
→ 総務省「消費者物価指数」
といった感じです。
もし、あなたの唐揚げ屋さんだけにフォーカスしたのではなく。世界全体をこのような指数で見たら、何が見えるでしょうか?
- 世の人々が、どれだけ”消費”しているか?
- 会社が、どれだけ設備投資しているか?
- 労働者の賃金はいくらくらい?
- 労働者は何時間働いている?
- 世の中に、どれくらいの人が職につけないでいる?
- 人手不足はどの程度?
- 会社・企業はどれほどの商品・サービスを生み出している?
- 世の中のモノの価格は、どれくらい上がっている?/下がっている?
という感じ国民や企業の経済活動の規模や状態を知ることができます。
それぞれの省庁、機関は、このような指数を調べ、定期的に公表しています。
- 世の人々がたくさんお金を使い
- 企業がいっぱい投資して
- 労働者の賃金がアップし、
- 失業者が少なくなり
- 会社・企業がたくさん製品を作り
- 物価が年々緩やかに上がる
といった状態になりば、その結果が経済指標や指数に表れます。
つまり、「景気は良い」方向に向かっているわけですね。
「経済指標」とは
経済指標とは、一国または地域の経済活動の状態を測定するための統計データです。これらの指標は、経済の健全性を評価し、政策立案者、投資家、企業経営者、一般市民が経済状況を理解するために利用されます。経済指標には以下のようなものがあります。
- 国内総生産(GDP): 一国の経済内で生産される最終財・サービスの総価値で、一定期間(通常は1年または1四半期)の経済活動の大きさを測る基本的な指標です。
- 失業率: 労働力人口(労働を行っている人々と仕事を探している人々)における、仕事を探しているが就職できていない人々の割合です。
- インフレ率: 物価水準の変動を測る指標で、消費者価格指数(CPI)などを用いて計算されます。インフレ率が高いと、貨幣の購買力が低下していることを示します。
- 貿易収支: 国が輸出する財とサービスの価値と、輸入する財とサービスの価値との差額です。貿易収支が黒字ならば輸出が輸入を上回っており、逆に赤字ならば輸入が輸出を上回っています。
- 鉱工業生産指数: 製造業、鉱業、公益事業(電気・ガス・水道)の生産量の変動を示す指標で、産業活動の水準を測ります。
- 消費者信頼感指数: 一般消費者が経済状況に対して抱く信頼感や期待を測るための指標で、消費行動の予測に役立ちます。
- 株価指数: 株式市場の全体的な動向を示すために設計された指数で、市場の健全性や投資家のセンチメントを反映します。
- 金利: 政府や中央銀行が設定する基準金利や、銀行間で貸し借りされる金利(LIBORなど)を指します。金利は経済全体の借入コストに影響を与え、消費や投資に影響を及ぼします。
経済指標は単に現在の経済状況を把握するためだけでなく、経済の将来の動向を予測する際にも重要な役割を果たします。
指数とは
指数とは、一般に数値の集合を基にして算出される相対的な数値であり、特定のデータセットの平均的な変動を表すために用いられます。指数は経済、金融、統計学、数学など様々な分野で使用され、それぞれの文脈において異なる意味を持つことがあります。
以下は指数のいくつかの用途です:
- 統計学や経済学での指数: 特定の基準に基づいて経済の特定のセクターや全体の動向を追跡するために使われる数値。例えば、消費者価格指数(CPI)は消費者が購入する商品とサービスの範囲にわたる価格の変動を追跡し、インフレの測定に使われます。
- 金融での指数: 株式市場の動向を表すために使われる数値。例えば、日経225やダウ・ジョーンズ工業平均株価は、特定の株式を基に算出された指数で、市場の全体的な健全性を示すために用いられます。
- 数学での指数: 数学においては、指数(または冪指数)は、ある数(基数)を何回掛けるかを示す数です。例えば、23 は 2×2×2 を意味し、2の3乗と表現されます。
- 科学や工学での指数: ある現象の度合いや強さを表すために使われる数値。例えば、リヒタースケールは地震のエネルギーを指数で表し、その大きさを測定します。
それぞれの指数は、ある基準点に対する相対的な変動や、特定の変数の複数の影響を単一の数値に集約することで、情報を解釈しやすくするための便利な手段を提供します。
指数物価とは
指数物価という用語は、通常「物価指数」と呼ばれることが多いもので、一定期間内における商品やサービスの価格の平均的な変動を測定するための指標を指します。この指数は、消費者が購入する商品やサービスの範囲にわたる価格の変化を追跡し、インフレーションやデフレーションの度合いを示すために使われます。
最も一般的な物価指数の一つが消費者価格指数(CPI)です。CPIは、一般的な家庭が購入すると考えられる商品やサービスの範囲にわたる価格の変化を追跡し、そのデータを基に物価の変動を測定します。CPIは、生活コストの変化を把握するため、政府や中央銀行、経済分析者によって広く用いられます。
物価指数は、政府が経済政策を決定する際や、企業が価格戦略を立てる際、または労働組合が賃金交渉を行う際にも重要な情報となります。また、物価指数は一般の消費者が自身の購買力の変化を理解するためにも利用されます。
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